「ちょ、シン! 苦しいよ!!」
「心配なんれふよぉ〜、おりはぁ〜」
「な、何が?」
「特別じゃないとしぇんぱいどっかいっちゃいそうな気がして…
一人は寂しいんれふ」
「シン…?」
酔ってしまった所為だろう。
シンは何時になく自らの心情を雄弁に語ってくる。
それは普段ならば決してシンが口にしないであろう本音であるかのように思えて、キラは耳を欹てた。
「学校でみんなといても、家にかえったらだぁれもいなくって、暗くて音がしなくて、凄く寒いんれふ。
世界にひとりぼっちなんれふ。
それは凄くすご〜く寂しいんれふよぉ〜」
「それは…」
わかる。
家族を失って、キラもまた一人ぼっちになってしまったから…
両親が死んで、家族のいない生活にも慣れた頃。
人といる時は以前と同じように笑っていられた。
けれど誰が待つこともない部屋に戻ると、言いようのない不安と孤独感に苛まれ、息をする事すら辛かったあの頃。
静まり返った部屋の中
あるのは自分の立てる音と、外から聞こえてくる生活音
隣の家族の談笑や、兄弟の口喧嘩
壁を隔てた先には確かに人がいるはずなのに、世界は隔離され自分一人が取り残されてしまったようなそんな錯覚
あの寂しさや辛さ、孤独感は体験した者にしかわからないだろう。
「それは… とても悲しいね…」
「はい、悲しくて寂しくて、とっても苦しいんれふ…」
その寂しさを埋めるかのようにシンはまたギュっとキラに抱きついてきた。
キラは咎める事なく、今度は静かにシンの背中に優しく手を回してやる。
するとシンは安心したように腕の力を緩め、キラの肩に頬を寄せた。
「だからえっちしてしぇんぱいをめろめろにするんれふ!
そしたらめろめろなしぇんぱいは、おりにめろめろらからずっとずぅ〜っと一緒にいてくれるんれふよ〜」
ああ、とキラは納得する。
つまりシンが行為を急ぐのは、詰まるところキラに傍にいて欲しいからなのだ。
繋ぎとめるだけの口実を作ってしまえば、キラがもっと自分を好いてくれる。
そうすればずっと傍にいてくれる、離れてはいかないと考えたのだろう。
子供っぽい浅知恵と言ってしまえばそれまでだが、シンなりに一生懸命考えた結果に違いない。
「そうか、メロメロにしちゃうのか」
「そうれふ、めろめろのきゅーなんれふ。
そんれ…しぇんぱいがきゅーってなったら…おりも…しぇんぱいに…きゅーってなって…
二人で…ずっと…」
眠気が増してきたのか、シンはうつらうつらとして喋る言葉もどんどんと小さくなっていく。
キラの腕の中であったからだろうか、その寝顔はとても安らかな物で、先程口にしていた不安や孤独など微塵も感じさせない程安らかであった。
シンが眠って静まり返った部屋の中。
けれど腕の中には、シンの安らかな呼吸と温もりがある。
キラは静かに寝息を立てるシンを腕に抱きながら、また小さな溜息を漏らした。
- 2007/07/05(木) 04:53:05|
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さて、あれから更に数時間。
ディアッカは飲むだけ飲んで、そのまま床で寝てしまった。
一方シンはといえば…
「しぇんぱぁ〜いvvv」
ベロンベロンに酔っぱらってキラに正面から抱き付く形で膝に乗り上げ、絡み酒の様相を呈していた。
「し、シン…ちょっと飲み過ぎなんじゃない?」
「酔ってましぇん! 酔ってましぇんよ、おりわぁぁぁ〜」
酔っている人間の常套句を口にしながら、シンは新しいビールの缶に手を掛ける。
それを見たキラは慌ててそれを制した。
「駄目だよ、これ以上飲んだらきっと明日辛いよ?」
「平気れふ、明日はおやしゅみでぇ、あしゃってもおやしゅみれ〜、しあしゃっては学校れ〜…」
「うんうん、そうだね。
明日も明後日もお休みだね。
でもあんまり飲み過ぎると、折角遊びに来たのに明日は一日二日酔いで遊べなくなっちゃうよ?」
「ん? ん―――〜、それはイヤれふ…」
「じゃあ、今日はこのくらいにしてゆっくり休んだら?」
「んん――――〜、それもイヤれふ」
「じゃあ、シンはどうしたいの?」
「しぇんぱいとえっちしたいれふ!」
即答であった。
呂律も回らず、思考力もかなり低下しているにも関わらずである。
その答えにキラは小さく溜息を吐く。
「で、でもそれはまだ早いんじゃない?
僕ら付き合ってまだ1日目だろ?
ディアッカにも言われたじゃない、『急ぐな』って」
「そーなんれふけどぉ〜、そりとこりとは話が別なんれふ」
「………全然、別じゃないよ」
どうやらディアッカの数時間に及ぶ講座という名の説得は、全く功を奏してはいなかったらしい。
キラは更に深い溜息を吐いた。
するとシンはキラの心情を察したのか、キラの首に絡ませていた腕をギュウギュウと締め付けてきた。
- 2007/07/03(火) 17:00:58|
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